2021/01/03 16:21
Will to Form.
2021年、はじまりの覚え書きとして。
:
精神はどこに置いて最も純粋であるか?それははじまりに置いてである。
まず何よりも、芸術家は自然の現象形態をのっぴきならぬほど重視しない。
芸術家は現実にそれほど拘束されているとは思わない。
なぜなら、芸術家が自然の創造過程の本質とみているものは、
そうした有限の形のなかにはないからだ。
芸術家は有限なフォルムよりも
「フォルムをつくる力」の方により大きな関心を持っている。
したがってフォルムを考えるのではなく、形成を考えること。
過程を、すなわち観念的な根源との絶えざる関連を失わないこと。
ここから必然的に形成意志を推し進めて、ついにはどんな小さな部分をも
「形成する意志」によって浸透させること。
一歩一歩、この意志を極めて些細なものからより大きなものへと移し、
形成の実現をしっかりとイメージし、創造的な芸術的技巧から遊離させないこと。
絵や造形作品はこれといって特別な目的を持つものではない。
それは「わたしたちを幸せにする」という、ただ一つの意志を持つに過ぎない。
このことは、わたしたちの現実的日常生活に対する関係性とは全く別のものと考える。
それゆえ、それは全く別個に存在し得るものでなければならない。
わたしたちはその点に置いて一つの芸術的成果を見よう。
それは、わたしたちがしばしば好んで見たがるもの、そしてしまいには好んで所有したがるもの、
わたしたちに創造させる「何か」でなくてはならない。
そこで初めてわたしたちは「それがわたしたちを幸せにするかどうか」がわかる。
_ パウル・クレー「造形思考」より